一般のお客様の中には、「私にはデザインセンスがない……」と苦手意識を持つ方もいますが、センスというこの言葉ほど、中身が曖昧で、説明しづらいものはありません。そこで今回は
デザインセンスを磨くために、デザイナーの自分が意識していることをご紹介します。
デザインセンスとは生まれつきのもの?
そもそも「このサイトの雰囲気が好き!」という判断は、見る人の価値観によって異なります。明らかにレベルの低いデザインは論外として、ある一定の品質やクオリティーを保つものなら、ある人にとっては、とても好きなデザインも、あまりそう感じない人もいるわけです。
言うなれば、デザインセンスとは、受け手の「感性」や「ひらめき」による要素が大きいもの。だからこそ、多くの方が「デザインセンスを磨くためにはどうすれば?」と思うのでしょうし、クリエイティブ系の仕事に携わるデザイナーに、センスが求められるのだと思います。
その一方、「このサイトは本当にセンスがあるなぁ…」と誰もが感じるデザインもあるわけで、これはある意味、クリエイターという仕事が、単に感性やひらめきだけで成り立つのではなく、
基礎的な知識やテクニック、経験で培った技術やスキルもあることを意味しています。
センスを身につけるには、感性?経験?
自分の場合は主に、ウェブ制作に携わっている人間なので、ウェブデザインを例に出しますが、例えば、一般の方とデザイナーが作ったサイトでは、デザインに関して品質に差がありますし、
プロの中でも、その経験やスキルによって、クオリティーに違いが出てくるものです。
もちろん、何を基準に「これは良いデザイン」「あまり良くないデザイン」と判断されるかは、受け手の感性(センス)にもよるかと思いますが、少なくとも、作り手であるデザイナーには、クライアントやサイト訪問者に好まれるような、デザイン面のスキルが欠かせません。
センスが人の「感性」によるものとしたら、デザインの役割は「設計」と「装飾」にあります。レイアウトや余白の使い方、色やフォントの選び方など、ポイントは実にさまざまありますが、これらは基本的に、知識と経験を積み重ねていく中で、向上できると自覚しています。
デザインセンスって、教えられるもの?
デザインセンスを磨くためには、より良いデザインを多くみて、一つでも多く数をこなすこと。自分もフリーとして独立する前は、専門スクールに通ったり、制作会社で経験を積みましたが、あえて、身につける方法を言うなら、実践でしか、デザインセンスは身につきません。
こんなふうに断言してしまうと、まるで自分には、デザインセンスがあるように思われますが、正直、自分にデザインセンスがあるとは考えてもいませんし、まだまだ、試行錯誤の段階です。スクール時代に制作したウェブサイトなど、今ではとてもお見せできないものばかり。
ただ、当時と現在で違うところは、「どこがどう悪くていけなかったのか」「ここをこうすればもっと良くなる」などいった点が、確かな知識として、具体的に理解できるようになったこと。これはおそらく、実際に自分の手を動かしながら、経験を積んだおかげだと思います。
センスを磨くために、意識していること
老婆心ながら付け加えると、ウェブデザイナーの方で、今後もデザインセンスを磨きたいなら、
あまり制作ジャンルはしぼらない方がいいと思います。ある程度の経験を積めば話は別ですが、整体院専門のホームページ業者など、特定の専門に集中させるとセンスは劣化します。
また、参考サイト等を見る際も、作り手であるクリエイターは、批評家であってはなりません。「このウェブデザインはどこがいいのだろう?」「何か自分に参考になるところはないかな?」いつも新鮮な気持ちで接することが、デザインセンスを磨くには必要と感じています。